STELLA

好きが君だけで溢れかえるまで

永遠の旅路の途中で〜黑世界 雨下の章〜

こんにちはこんばんは。

 

 

黑世界 雨下の章 感想等諸々です。

ネタバレありありのありなのでご注意ください。というかネタバレしかないです。

 

日和の章についてはこちら。

 

 

 

 

 

 

「雨下の章」だけにずっと雨が降っている。まるであのクランみたいだね。

 

 

登場人物の名前覚えられない問題が発生したので名前が出てこない人がいます。すみません。

そして劇場で1回観ただけなので記憶がないです。27日に配信見る予定なので何かあれば追記します。

 

 


第一話「イデアの闖入者」作:末満健一

リリーの繭期の妄想から始まる。
リリーが目覚めると、越繭して家に帰っている。出迎えてくれる父と母。「クランでの思い出を聞かせて」と言われ、楽しそうにかつての仲間たちのことを歌うリリー。スノウは…一番の親友…だった…。
リリーが都合よく作り出した妄想から現実に引き戻す、これまたリリーの幻覚である女性。そしてリリーは例のクランでの出来事を思い出す。
幻覚と話をしているリリーは幻覚に「あなたチェリーに似てるわね」と話す。そして幻覚はチェリーと名乗ることになる。
そして、闖入者。シュカと名乗る男。実はヴラド機関に狙われていたリリーを助けていた。「我は守護者なり、と言いたいところだが私はただ傍観者だ」と話し、リリーのこれからの旅路をただただ見ている。

 

リリーのあの絶叫、ここで見れるとは思わなかった。しかし何度見てもあのシーンはキツい。

幻覚のチェリー、本当にチェリーと同じ喋り方をしている。リリーとチェリー、不死者とダンピール。どこかで見覚えがある構図ですね、、、。

ヴラド機関がリリーを追っているということはやっぱりソフィもヴラド機関に監視されているんですかね。

シュカ、フラ家みたい(というかゲルハルト様みたい)な髪型だったけど関係あるんかな。さすがに関係ないか。

 

第二話「ついでいくもの、こえていくこと」作:宮沢龍生

大雨の中、三日三晩歩き続けリリーはとある街へ辿り着く。宿を求めて街を彷徨うがどこもダメでついに街の端まで来てしまった。そこにあったボロボロの家。さすがにここには誰も住んでいないだろうと入り込むが、そこには人が住んでいた。出ていこうとするが倒れてしまうリリー。そんなリリーを宿屋に運んでくれたホオズキ親方とその弟子。彼らは壊れてしまった石橋を作る職人だった。
橋の完成を見届けるのにそこに留まるリリー。ある夜、親方はリリーに昔話をする。「自分はかつてヴァンパイアハンターだった。多くの吸血種を殺した。自分は潜入が得意なヴァンパイアハンターだった。そこでつくたくさんの嘘が嫌になって、人の嘘を見破れるようになったのさ」と。
橋の完成直前に大雨。そして弟子が橋桁に取り残され上から石が降ってくるその時、親方が弟子を助け自分が石の下敷きになってしまう。完成直前だった橋も崩れてしまった。瀕死の親方は「橋はどうだ」と聞く。リリーは「橋は完成した」と優しい嘘をつき、親方はそのまま息を引き取った。

親方が遺した技術書を元に弟子は5年かけて橋を完成させ、リリーはその橋を一番に渡りまた旅に出るのだった。

 

親方、、、親方めちゃくちゃよかった、、、。親方はリリーの嘘がきっとわかっていただろうけど、気付かない振りをして死んでいったんだろうなあ。ホオズキ花言葉は「偽り」「ごまかし」ですもんね。優しい嘘に優しいごまかしで返したんだなあ。

「人が死んでも技術や生きた証は残り永遠に生き続ける」リリーが「永遠」とは何か、に触れたお話ですね。

すごく優しい物語でした。絶対末満おじさんには書けないTRUMPだな()

 

第三話「求めろ捧げろ待っていろ」作:中屋敷法仁

リリーは旅の道中、繭期の妄想のような現実に出会う。

「この道は引き返した方がいい。クランから脱走した繭期の吸血種がこの辺にいる」と話すヴァンパイアハンター、ライザン。彼は美青年でナルシストだった。道を引き返そうとするリリー。その道中で、またある老婆、マルグリットに出会う。共に引き返そう、と言うが彼女はそれを拒否。彼女をよく見ると至るところに傷があり出血している。そして彼女の手にはナイフ。

「この血の匂いで吸血種を引きつければ、きっとまた彼が助けに来てくれる」そういう彼女の元へ集まる吸血種。そして彼女を助けるライザン。「もう剣は持ちたくない」と話しながら吸血種を殺していくライザン。彼に助けられたいが故どんどん自らを傷つけていくマルグリット。そして最後には自らの心臓にナイフを突き立てる。

「あなたに救って欲しいと言っていたマルグリットはもう死んでしまった。あなたは剣を置くことができる」とリリーは言うが、ライザンにはマルグリット以外にも同様の女性がたくさんいた。ライザンの救いを求めるために自らを傷付ける女性たちのためにライザンは剣を持ち続ける。

 

ひたすらにダリちゃんコーレスやらアンジェリコフィーバーやらが続いているような状態(笑)トンチキすぎる(笑)白石蔵ノ介以外で「エクスタシー」って言う人、存在してるんですね()

と、なるが、深く考えると自らを傷付け救いを求めるのは原初信仰に近いものを感じる。ひとつの宗教ですね、これは。妄信的な人間は恐ろしい。でもリリーにとってはひとつのものに命をかけるほどの情熱が羨ましいんですね。

 

第四話「少女を映す鏡」作:末満健一

リリーはある老婆、アイダに出会い、彼女の屋敷で過ごすこととなる。ある日リリーが目覚めると鏡の中に閉じ込められていた。

アイダは「あなたは私だもの」と言う。彼女は早老症で人の5倍歳をとるため、見た目は75歳だが実は15歳だと言う。だから鏡の中のあなたが私なの、と。

リリーはそれを受け入れ、鏡の中のアイダとして過ごす。リリーとアイダは色々な話をした。アイダは恋に憧れていた。リリーは恋をしたことがあったかどうかも忘れてしまっていた。

ある日、繭期の吸血種の少年が屋敷に忍び込んでくる。「街で見かけたここの人に恋をしたんだ」と。彼は人の心の形が見える、と言う。「街でアイダを一目見た時、こんな綺麗な人は初めて見た、と恋に落ちたのだ」と。恋に憧れていたアイダだったが、少年が向けてくる恋心は強く拒否していた。彼の繭期の幻想だ、向き合うのが怖い、と。

それから3年の時が経ち、アイダは18歳の誕生日を迎えた。その数日後、アイダはリリーを鏡から出した。アイダは越繭し、今までの行動が異常であったこと、リリーは「私」ではなかった、こんな綺麗な子が私なわけがないってわかっていた、と話す。そんなアイダに「私はあなたよ!だってあなたが言ったんじゃない!」とリリーは言う。そして、アイダは疲れて眠ってしまい、そのまま永遠の眠りにつく。

そこに訪ねてくるあの少年。アイダは死んでしまったから心の形はもう見えない、とリリーは言うが少年は「本当に綺麗な人だったんだ」と。リリーと少年はアイダを弔う。

傍観していたシュカが現れる。以前シュカと会ってからもう50年以上経っているのにその姿はあの時のまま変わらず。シュカは「彼女が死んで悲しいという気持ちはあるのか」とリリーに問う。リリーは「わからない」と答える。

「でもこの胸の奥にある感情が悲しいというものなら、私はこれを無くしたりしない」

 

いやもう、、なに???あとギニョル音楽流すのやめてくれ、、、。

リリー、本当に純潔だな、と思わせられる。鏡の中に閉じ込められておきながら、アイダのことを心から想っている。人より早く歳を取り、孤独と見た目への恐れを持っていて、それを「鏡の中の私」とすることで救われていたけど、多分リリーもアイダと過ごす中で自分がとうに忘れてしまった少女の気持ちや恋心を見て救われていたんだろう。歪な形だったけど、お互いがお互いを支えにしていたんでしょうね。

時間は平等ではない。早過ぎる時間も永遠に終わらない時間も、その平等ではない時間の中で2人の少女は同じ時を過ごしていた。

最後、アイダが死んでしまってもう心がないからその形が見れない、ありのままの姿のアイダが少年に見えてしまうが、少年の恋心は変わらず姿形ではなくそのままのアイダが好きだった、っていう描写、鳥肌たった。

ところで50年前と姿が変わらないシュカ。そして第六話のタイトル「枯れゆくウル」。なんとなく想像できましたね。

 

第五話「馬車の日」作: 降田天

雨宿りをしているリリーの元に偶然馬車が通りかかる。馬車にはメープル、その息子ヘーゼル、そして従者のシダーが乗っていた。街まで乗せてもらうことになったリリー。

メープルはヘーゼルをクランへ送るところだと言う。街に着き、彼女らと別れるリリー。

3年後(だった気がする)、リリーが再び同じ場所で雨宿りをしていると偶然馬車が。そこにはまたあの3人が。「以前お会いしたことが?」と聞くが、初めて会った、と。ヘーゼルの性格も以前と違う。違和感を覚えるリリー。その時、土砂崩れが起き、シダーとメープルは様子を見に行く。するとヘーゼルが突然「逃げるぞ。あいつらヤバいんだ」と言い出す。そこへ戻ってくるメープル。何をしているのか、と憤怒しシダーはヘーゼルを撃ち殺す。

すると、メープルは「ヘーゼル?どこに行ったの?」と言い出し、リリーに向かって「ヘーゼル、ここにいたのね」と呼ぶ。

リリーはメープルの息子、ヘーゼルとして生きるようになる。毎年、雨乞い鳥が鳴くとメープルはヘーゼルをクランへ送ろうとする。そして、タイを綺麗に結べているのを見てヘーゼルではないことに気付き、シダーがヘーゼルを撃ち殺す。リリーは不死者なので死なず、同じことを何度も何度も繰り返した。

それを何度も繰り返したのち、リリーも妄想の世界に入ってしまい、メープルが母親であるように接するようになる。ある日、雨乞い鳥が鳴きクランへ行くことになる。メープルがリリーに「クランにはたくさんお友達がいてあなたを待っているわよ」と話す。そこでリリーはこの妄想から目覚める。「私のクランはもうない。私が終わらせてしまったから。」

そしてシダーになぜこんなことを繰り返しているのか問う。メープルにも都合のいい夢を見させ続けているだけだ、と。「夢」という言葉に反応するメープル。シダーがリリーに銃口を向けるが、まるで母が子を守るようにリリーの前に立ち塞がり銃弾を浴びるメープル。

シダーは実はヘーゼルで、昔母にそれは厳しくしつけられ、ある日母を噛みイニシアチブを取ってしまった。そして目の前の自分がヘーゼルではないと思わせ、クランへと逃げた。越繭して帰ると屋敷は荒れ果てており、母親はずっとヘーゼルを探し続けていた。そこで、従者として住み込み母親の面倒を見ながら、クランから逃げ出してきた繭期の少年を連れてきてヘーゼルとする生活を繰り返していた。ヘーゼルと過ごしている母が幸せそうだったから…。

 

ミステリー作家の書くTRUMPしゅごい。

降田さんが名前の花言葉は後から調べたけどその通りだったって仰っていたけど本当にそうでした、、。(メープル:大切な思い出、ヘーゼル:和解、シダー:あなたのために生きる)

何度も撃たれその度に起き上がるリリーの倒れ方、起き上がり方が不死者(クラウスやソフィ)のそれですごかった。

「母と子」ってTRUMPシリーズにはよく出てくるけど、今までのそれとは当てはまらない感じでとても良かった。

 

第六話「枯れゆくウル」作:末満健一

シュカはかつてヴラド機関の人間だった。TRUMPの心の平穏のため、また不死者の研究のため、かつてリリーは凄惨な実験の中にあった。毎日切り刻まれ、すり潰され、焼かれ、それでも彼女は顔色1つ変えず心無い人形のようだった。シュカは実験前にリリーに話しかけるのが習慣となっていた。「君の両親はどんな人だった?」「クランではどう過ごしていた?」「友達は?仲間は?」その問いにリリーが答えることはなかった。

ある日、シュカは研究所の敷地に咲いていたスノウフレークの花をリリーへプレゼントする。その花を見た時リリーは静かに涙を流した。もう心を失くしていたとばかり思っていたシュカは驚き困惑する。花を見て涙を流すほどの心を持っていながら今までの実験を受けていたのか、と。シュカはリリーを逃がすことにする。実験に反対する議員に協力を求め、リリーを研究所から脱出させる。自分の罪は消えないが、少しでもそれを償えるように、ただ彼女が幸せになるように、と。

しかし、逃げ出した先で彼女は幸せになれるのか。彼女の行く末を見守りたい。しかし、永遠に生きる彼女と違い自分には時間は限られている。少しでもその時間を長くするために、あのクランから回収していた「ウル」と呼ばれる薬を持ち出す。ウルは一部の繭期の吸血種にしか効かず、大人では細胞が変異して死んでしまうことが実験でわかっていた。それでも構わずシュカはウルを飲み、耐え難い苦痛を伴って不老の体を得る。

そして100年リリーを見守ってきたが、既にウルは尽き時間を迎える。最後にシュカはリリーに「僕はウルだった」「君にとってはまばたきのような一瞬の時間だっただろうが、自分にとってこの100年はそれこそ永遠だった」と言い、その100年の時間を背負い枯れ木のようになってしまう。

 

「永遠の繭期の終わりに」のメロディで「リリウムの花のように」はどう考えてもアカン。本当にお前は、、、、、、。

ウルを飲んだシュカと、不死者になったリリー。形は違えどウルとソフィですよね。ウルはまたソフィよりも先に逝ってしまう、、。

しかし、「私はソフィじゃない」と「僕はウルだった」が同時に来るの、本当に死ぬ。そしてリリーにとっての「ウル」は絶望だけど、シュカにとっての「ウル」は希望だったのも本当に死ぬ。なんやねん、お前、なんて話書いとんじゃ()

狂ってしまえば楽なのに、リリーは永遠に心を持ち続ける。それはあの時のソフィのようになりたくないから。あとなんとなくだけどシュカが思い出させてくれたスノウの存在もあったのかなあ、と思った。狂った黒い世界で正気を保ち続けているの、本当に強くて美しくて純潔で哀れである。

過去の贖罪を背負い、リリーを見守り続けてきたシュカの最期にリリーが「良かった」と言うの、彼が赦された(というか救われた?)瞬間だったなあ。彼はきっと星に手が届いたんだろう。

 

総括

リリーの永遠の旅とその途中で出会った人たちのお話。LILIUMの後のリリーはどう生きていたのか、リリーはどうしてリリーのままで居続けられたのか。純潔であったが故にLILIUMでのあの最後を迎えてしまったし、純潔であるが故にこの狂った黒い世界で「リリー」を保ち続けている。リリーにとっての希望はまだ全然見えてないんだけど、リリーがリリーのまま気高く生きていることがわかる希望の物語だったのでは。

それにしても、リリー良い人たちと出会ってきているなあ。まあ良い人だけじゃないけど、みんなリリーに「永遠とは何か」「時間とは何か」「執着とは何か」「感情とは何か」色々なことを教えてくれてるんだよね。

リリーが最後まで純潔でありますように。

 

 

 

日和、まだ観てないので観たら書きます。