STELLA

好きが君だけで溢れかえるまで

枯れない花が散るまで〜黑世界 日和の章〜

こんにちはこんばんは。

 

 

 

たいへん遅くなりましたが黑世界 日和の章についてです。

雨下の章についてはこちら。

例によってネタバレしかありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

第一話「家族ごっこ」作:末満健一

雨降るクランでシルベチカを探すリリー。そこへ来る紫蘭と竜胆。繰り返されるLILIUMの台詞。「紫蘭、竜胆、どうしてこのクランにはずっと雨が降っているの?」「何を言っている、雨などもう止んだ。お前が終わらせたからだ。」クランで友達たちを殺してしまった罪に苛まれるリリー。その永遠に消えない罪と共にリリーはまた旅に出る。

小さな村でリリーはエルマーとその娘ラッカ、そしてその遠い親戚であるノクという3人の家族に出会う。リリーはしばらくその家族と過ごすことになる。5歳のラッカと色々なことを話し、手を繋ぎ眠り、散歩に出かけ、そんな日々が続き5年の月日が経っていた。ラッカはいつの日からかリリーがパパと結婚したらいい、と言い出すようになり、リリーのことを「ママ」と呼ぶようになっていた。そんな4人の擬似家族は突然終わりを迎える。

エルマーはかつて血盟議会の優秀な議員だった。その優秀さ故、今でもエルマーの復帰を求む声も多かった。しかしエルマーが復帰すると困る派閥もいた。それこそエルマーを殺して永遠に復帰させないようにするくらいには。彼らはエルマーの家へ押し入り、エルマーを殺そうとした。彼らを守るためリリーは盾となり殺されるが、永遠の命を持つため生き返る。そして血盟議会の者たちを次々と噛みイニシアチブで自分自身を殺させた。生き返ったリリー、そしてその後の惨劇を目の当たりに呆然とするエルマー達。返り血を浴びて真っ赤になったリリーは、その場から逃げ出すのだった。

 

初っ端からしんどすぎる。本当に末満は何なんだ()

エルマー達家族を守りたいという気持ちからあの時と似たようなことを繰り返してしまってイマジナリー紫蘭と竜胆に責められるの、本当にリリーが永遠に赦されない罪を背負っていると自ら感じているのが現れてますね。リリーはずっとあの瞬間に囚われている。

 

第二話「青い薔薇の教会」作:葛木英

とある村でリリーは教会の神父様を助ける。そしてリリーはその教会で寝泊まりすることとなる。教会には神父様とモスカータという男がいた。その教会の中庭にはモスカータが育てたという青い薔薇が咲き誇っていた。

神父様にはルイーザという妹がいた。かつてその青い薔薇はルイーザが世話をしていた。しかしルイーザは繭期の吸血種に殺されてしまった。ルイーザが手入れをしていた青い薔薇は主を失い枯れ果ててしまった。

モスカータはある日リリーに話をする。「自分は吸血種で繭期の頃にルイーザを殺した。繭期の自分は狂っていた。だからその罰を受けるためにここに来た。」と。しかし、神父様は「自分は神父だ。神父は罰を与えるものではなく赦すものだ。でも今到底赦すことなど出来ない。だから私が赦せるまでそばに居ろ。そしてあの青い薔薇を咲かせ」と言ったのだ。5年かけモスカータは青い薔薇を咲かせた。神父様はモスカータに笑顔で接するようになっていた。

モスカータは自分の犯した罪は到底赦されるものではなく、神父様が自分を赦せるわけがないと思っている。でも神父様は罰を与えてくれない。そこで、モスカータは自分を疎ましく思っている村の人たちの前で「自分がルイーザを殺した。私に罰を与えよ。」と宣言する。「ルイーザを殺した吸血種がのうのうと生きているなんて赦せない!殺せ!」と激昂する村人たちに神父様は笑う。「なぜあなた方が彼を赦せないのか、私が赦すと言っているのに関係ない皆さんが赦せないなんておかしな話だ、赦せるのも赦せないのも、罰するも罰しないも私だけの権利だ。罰せられるためではなく、いつか赦されるために生きてほしい」と言いモスカータを逃がす。

2人の罪と罰の話を聞き、自分の永遠の罪について考えるリリー。「自分が赦されるはずがない。償い切れない罪を背負っている。赦されるとしても、赦してくれるみんなはもうどこにもいない。この命で償うこともできない。」そんなリリーに神父は「誰も赦してくれる人がいないのならあなた自身があなたを赦すしかない。自分自身を赦すことを諦めないでください、この世界には青い薔薇だって咲くんですから。」と声をかける。

 

神父様が三好大貴さんなんですが何の因果ですか、、、。代役に三好さん選んだの誰ですか、、、。罪を犯したシャドを演じた彼が、到底赦せない罪を赦すことを諦めない役を演じるって何なんですか、、、。

「赦すのも赦さないのも、罰するも罰しないも私だけの権利だ」という台詞は昨今の諸々を反映しているようでグッときますね。


第三話「静かな村の賑やかなふたり」作:岩井勇気

とある村へと続く森の道でリリーはとある男性と会う。彼は「この森を抜けてきたのかい?この森には恐ろしく危険な伝説の吸血種が住んでいると言われている。遭遇しなかったなんて君はラッキーだね!」と言う。その男と別れしばらくすると、今度は女性とぶつかってしまう。その際手を切ってしまったリリーが、その女性に手当しないと!と無理やり手を取られ、傷が治っていく瞬間を見られてしまう。女性はリリーのことを言い伝えの吸血種だと勘違いする。女性の叫び声に駆けつける先ほどの男性。彼らは恋人同士だった。彼らの村に伝わる吸血種の伝説は実際とはかなり異なっているものだった。

・吸血種は頭の中で仲間と連絡が取れる

・森の吸血種は5〜20人いる

・吸血種はニンニクが苦手

・吸血種は黒いマントで裏地がツルツルした赤い生地 マントの中にはワイシャツにベスト、マントの器用に襟を立ててる、中にはワイシャツの襟がカーテンみたいになってるものもある

・マントの中からコウモリがバサバサっと出てくるけど、野生のコウモリだから出ていったら帰ってこない

・鼻が鷲鼻

・年老いた吸血種は自分のことを吾輩と言う

・寝る時は長細い六角形の棺桶で寝る

等々、、

 

出たぞ!トンチキTRUMP!()

歌唱力の無駄遣いすぎたし、くそくそおもろだし、突然終わるしでしたね(笑)リリーが楽しそうで何よりでした。


第四話「血と記憶」作:末満健一

ヴラド機関の追っ手により坑道へと追い込まれるリリー。そこはヴァンパイアハンター、ガヴィが仕掛けた爆弾であちこちが崩れていた。その中を逃げるリリー。出口はどこも塞がれていたが、爆弾により開けた出口を見つけた。しかしそこには人影があった。

そこにいたのはかつて「家族ごっこ」をしていたラッカ、そしてノク。ラッカは「ずっとあなたを探していた。もう一度会いたくて。だからヴラド機関に入ったの。ヴラド機関に入ればいつかママに会えるかもしれない。あたしも一緒に逃げるわ。ママは大切な家族だから。」と話す。それに対してリリーは永遠の命に縛られているから家族にはなれない、と答える。

そこに現れ、ラッカに銃を突きつけ人質としてリリーを捕らえようとするガヴィ。「あたしの命は永遠ではないけれど、あの日の思い出は永遠よ。だからこんな奴に汚されるわけにはいかない。」と逆にガヴィを殺してしまうラッカ。その返り血を浴びた手でリリーを抱きしめようとしたその時、リリーはラッカを噛んだ。そして、イニシアチブでラッカがリリーと出会った記憶を消してしまった。「私と出会いさえしなければ彼女を縛り付けることはなかった。最初から出会ってはいけなかったのよ。」と。

爆弾により崩れ落ちる坑道。ラッカの頭上に岩が振り注ごうとしていたその時、リリーはラッカを坑道の出口へと突き飛ばした。さらにノクをも襲う岩。リリーはノクを庇おうと彼の上に覆いかぶさった。しかし、少女である体がそれに耐えきれるはずもなく、ノクと共に潰されてしまった。リリーは原型を留めないほどに潰されたまま生きていた。岩に押しつぶされうまく再生できなかったが、リリーの血液が地下水脈へと流れ、河口へ。その血液を媒介にリリーは再生し始めた。

その再生の中でノクの血が混ざり死んだはずのノクの意識がリリーの中に入り込んでいた。そこでノクは語る。「ラッカにとってあんたと過ごした日々はかけがえのないものだったんだ。頼むから思い出を返してやってくれ。」と。

この血と記憶は永遠の中に。

 

まず、再生するリリーの動きがすごい。本当に肉が蠢いている。もはや恐怖さえ感じるほど。

いやしかし本当にウゥッ、、、となる。ラッカはあの日の思い出を生きがいにして死にものぐるいで生きてきたんだろうな。そんなラッカの想いも、それをずっと傍で見守ってきたノクの想いも、そしてリリーの想いも、全部が少しずつ交わらないのよね。

リリーは自分で自分に色々な罪を与えて生きている。


第五話「二本の鎖」作:来楽零

リリーは、アントニーとフィロという繭期の吸血種のカップルに出会う。彼らはクランへ行く前日に駆け落ちして、それからずっと2人で暮らしているという。

ある日、繭期の具合が良くないアントニーはリリーに打ち明ける。フィロはお嬢様で、自分は仕えていた。でもどうしてもフィロが好きで、決して届かない星のような存在である彼女を、その星をこの手に落としたい、と願い、フィロを噛んで自分を愛するように、とイニシアチブをかけた、と。

フィロはそれを知っていた。フィロはアントニーがかけたイニシアチブは意味がない、とリリーに話す。彼女はそれよりもずっと前からアントニーのことが好きで、アントニーが身分違いの恋から離れないように彼を噛み「ずっと私と一緒にいて」というイニシアチブをかけていたのだった。

アントニーはイニシアチブでフィロに自分を愛させている罪の意識で苦しんでいる。でもどうしてもそのイニシアチブを解くことができない。フィロはアントニーが繭期を抜けたら自分への想いは恋ではなかったと気付いてしまうかもしれない。でもイニシアチブがあるから離れることはできない。

2人はお互いがお互いを縛り付けながらこれからも生きていって、死ぬんだろう。

 

メリバ?になるんですかね?お互い好きなんだけど、お互いイニシアチブという鎖に繋がれてすれ違ってるんだよなあ。途中チェリーが「引くわ〜」と言うんだけどそれな〜〜〜となる()でも、お互い歪んだ愛なんだけど、真っ直ぐな愛なんだよな。


第六話「百年の孤独」作:末満健一

リリーとラッカ、ノクが再会してから100年後。130歳となったラッカは過去を語る。あの坑道から生き延びた後、ラッカは不死者を捕えられなかった責任を取り、ヴラド機関を辞め実家のある村に帰ってきていた。色々なことがあったけど満ち足りた時を過ごした、と思う。しかしひとつだけ心にぽっかりと穴が空いている。あの坑道でノクだけではなく大切な何かを失ったのだが、それが何か思い出せない。なくした欠片はどこにも見つからず空虚だけが残っているが、それを探し続けている。

ラッカの元を訪れるリリー。久しぶり、と声をかけるが、会ったことがある気はするがどうしても思い出せない。思い出せないけど、こうして会える日をずっと待っていた気がする、と。ラッカに思い出を返すリリー。「ずっと手を繋いでいてって約束守ってくれてありがとう。孤独に負けないで、永遠に負けないで、ずっと大好きよ、ママ」と言いその命を終えるラッカ。

そこにノクの意識が戻ってくる。彼と一緒にラッカを見届けた。やっぱり出会うべきではなかった、出会わなければノクは死ななかったし、ラッカとノクは一緒に過ごすことが出来た、と話すリリーに、出会ったことがすべてなんだ、あなたの中のラッカをなかったことにしてほしくない、あなたは俺たちにとって大切な家族だった、枯れない花がいつか散ることができますように、あなたにも思い出を、記憶のずっと奥底に閉じ込めてあったあなたに、とノクは歌を捧げる。少女純潔。

なくしたものを探し続け、それを取り戻すために再びソフィを探す旅に出るリリー。悠久の時を彷徨い続ける。この両の手が死に届くその日まで。

 

タイトルの百年の孤独はラッカのことかしらね。ラッカは周りに恵まれていたし孤独ではなかったけど、大切な思い出がなくなってしまってそれが孤独だったんだろうな。最期に思い出を返してもらえて良かったな。

そして、ここで少女純潔はずるすぎる。リリーの心の奥底に閉まってあった思い出がそれなんだもんな、、、。

 

 

総括

全編通して朴璐美さんが本当にすごすぎる。5歳から130歳まで何の違和感もなく演じられ、それにプラス吸血種の青年まで、、朴璐美の有効活用すぎるわ、、、。

雨下がリリーがずっと純潔であって、人との出会いで「永遠」や「時間」や「感情」たるものを知っていく時間だったけど、日和はリリーの赦されざる罪とどう向き合うか、という感じでしたね。どんなことがあってもリリーを「家族」と呼んでくれて、手を差し伸べていてくれた人たちがいたことがリリーの救いとなれていれば良いな。