STELLA

好きが君だけで溢れかえるまで

それは確かな愛だった〜COCOON〜月の翳り/星ひとつ〜

こんにちはこんばんは。

 

 

だいぶ日付があいてしまいました。

さて、今回はCOCOONのお話。相も変わらずTRUMPシリーズのネタバレ含んでおりますのでご注意を。

 

今回COCOONから初めてTRUMPシリーズに入った方はぜひグランギニョルを観ることをおすすめします。もちろん他のも観てほしいけど、最低限グランギニョルだけは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の翳り

TRUMPで仲違いしていたラファエロ・デリコとアンジェリコ・フラの過去の物語。繭期を迎えクランに送られたラファエロが一足先にクランへと来ていた幼馴染アンジェリコと再会するところから始まる物語。

何から書けばいいんだろうなあ。月は同期組の話もあるし、ティーチャー組の話もあるし、もちろんラファエロとアンジェリコの話もある。それらが全部絡み合ってストンと落ちる作品。なんというか、TRUMPシリーズで一番人間臭い作品でした。人間の話じゃないんだけどさ。「友情」であったり、「愛」であったり、「尊敬」「嫉妬」「執着」「憧れ」「恐怖」色々なものが混じりあった真っ赤な物語でした。

 

まず、同期組。ディエゴとジュリオとエミール。

ディエゴはなんかもう本当につらい…。上流階級の跡継ぎという立場を嫌い自由に生きたいんだと言いながらも、実はダンピールであり上流階級の貴族をイニシアチブで操り息子として育てさせていて。なんなんその生い立ち。その辺のヤンキーの頭みたいな感じで喧嘩も強くてカリスマ性もあって成績も良くて繭期とも上手く付き合っていて、でも奥底の自尊心とか自己肯定感はめちゃくちゃ低くて、それを表に出すことはできなくて本当は常に怯えていて、傷ついて苦しんで心は真っ赤になってしまっていて、って本当…なに…。ディエゴにとってティーチャー・ドナテルロとコクーンは本当に救いだったんだろうなあ。嘘で塗り固めて生きてきて、でも本当はその嘘の罪悪感で雁字搦めになっていて、そんな嘘を解放してくれたんだもんな。結末としては悲しい物語なんだけど、ディエゴにとってはきっとこれで良かったんだろう。決して救いではないけれど、彼にとってはあれが救いだったんだ。同期組に対して友情なんてなかったって言ったのも、ヘルクランに送られる時イニシアチブで父親の自分が息子だったという記憶を消したのも、きっと自分の責任を自分で果たそうとしたディエゴの優しさなんだろうな。ディエゴは優しい子だったな。

碓井くんちょーーー久しぶりに観たんですけど、本当に声が聞き取りやすいな。めちゃくちゃ安心して観てられる。素晴らしい。

ジュリオちゃんは絶対おたくみんな好きなやつ。一人称は僕ちゃん。ヒラヒラした袖に中性的な外見。ビジュアルが強すぎる。天才。そんなジュリオは毎日に退屈していて、とりあえず他の人たちよりは少しだけ面白いからって同期組とつるんでる子。本当の友情なんかじゃないって言うけど、ちゃんとこれが本当の友情だったってわかってる。TRUMPシリーズの「友情」ってかなり拗れたものだったり、到底友情とは思えない友情ばかりだったけど、ディエゴとジュリオとエミールの友情は確かにそこにある普通の友情だったと思うんですよね。「友達」だからこそディエゴに誘われてもそっちには行けなかったジュリオ。このシーン本当に好きだった…。きっとディエゴのとこに行くのすごい迷っていたと思うんですよ、ジュリオは。でも、それでも、友達だからこそ手放した。はぁ、苦しい…。本当にすげー話作るな末満は…。あと、今回初めて越繭する吸血種なんですよね。いやまぁ大人の吸血種は出てたけど、ちゃんと越繭してクランから外に出ていく吸血種が描かれるのは初めてじゃないですか。今回の事件は外部には伏せられたけど、今後全てを知ってるジュリオちゃんが血盟議会で色々暗躍してほしい。あと、越繭したら袖のヒラヒラが消えるジュリオちゃん、最後までビジュアルで殴ってきて天才。

亨くん、本当にものすごい良い役貰ったなあ。SPECTER再演のクラナッハと同一人物だって最初気付かなかったもんな…。これは売れたなと思った(誰)

エミールは何もしてなくても幸せでずっとふわふわしてて、繭月でものすごい癒し枠でした。自分は幸せだからみんなも幸せであってほしい、みんな友達でみんな仲良くしてほしい。ふわふわニコニコでとても良かった。

しゅとぴも久しぶりに観たんだけどエミールめちゃ好きだった。ウル(繭星)も良かったんだけど、個人的にはエミールのが好きだった。

 

そして、ティーチャー組。ドナテルロ回顧録のドナテルロがあんな変態だと思わんかった…()あんな美しい見た目しといてあんなキチガイ最高すぎません??繭期愛好者ってすごい言葉。ショタコンとは似て非なるものだけどなんかその言葉のイメージ的にはそうなりそう…(笑)兎にも角にも「繭期」というのは人を狂わせるなあ。

 

最後に主役であるラファエロとアンジェリコについて。TRUMPラファエロが灰になった後、アンジェリコが「僕が殺したかったんだ…いや、違う、お前は生きてなきゃいけなかったんだ。生きて、僕と血盟議会に〜」っていうセリフがあったので、昔は仲良かったんだろうなあとは思っていましたが、ここで過去が語られることになるとは。

ラファエロはずっと父親に「ウルを、デリコを守らなければならない」って言われ続けていて、期待に応えなければ、父親の思い通りの息子にならなければ、と雁字搦めになってしまっている。本当はなぜウルだけが甘やかされて、自分は厳しく育てられなければならなかったのか、本当にデリコを守らなければならないのか、色々な想いがあったけど、それを閉じ込めて必死に生きてきたんだろう。ディエゴとの出会いでラファエロは自由に憧れるけど、それは当然の摂理だよなあ。そういう出会いの中で、それでもやっぱり自分はウルを、デリコを守らなければならないんだという結論に達するラファエロもめちゃくちゃしんどい。ダリちゃんはさ〜〜〜、本当に素晴らしい人なんだけど、本当に本当に本当に壊滅的に子育てが下手なんだよなあ。きっとダリちゃんだって、ラファエロにそこまでの重圧を与えたかったわけではないだろうし、もっとラファエロが自由に生きても良かったのかもしれない。でも壊滅的に子育てが下手なので、ダリちゃんの想いは全く伝わらないんだよな…。本当に残念な人だ…ダリちゃん…。まぁダリちゃんの話はまた後述します…。「デリコデリコデリコデリコって!好きでデリコに生まれたわけじゃない!」というセリフはダリちゃんからラファエロに引き継がれ、そしてウルにも引き継がれていくんですよね。デリコの因縁。

あらきさんも久しぶりに拝見しましたがやっぱりうまいですよね。TRUMPのラファエロって強くて真っ直ぐで、まさに特級貴族って感じなんですけど、繭月では強さに辿り着くまでの弱さが描かれていて良かったです。

そしてアンジェリコ。わたし、ラファエロとアンジェリコの過去ってもっと仲良かったんだ(それこそ普通の友達くらいには)と思ってたんですけど、クランにおけるアンジェリコは、相手のことを考えず猪突猛進に向かっていっていて、完全にソフィを追いかけるウルであり、ひいてはTRUMPを追い求めるダミアンストーンで、いや、血…となってしまった。アンジェリコの外見もゲルハルト卿と同じ巻き髪に本当の父親と同じ黒髪でうわぁ…となった。ゲルハルト卿はアンジェリコ出生に関する負い目があるからアンジェリコに貴族のことやフラ家のことを厳しく言わなかったんだろうけど、ほんとダリちゃんといい君たちは子育てが壊滅的に下手だ…。それでも特級貴族の息子として気高くいようとするアンジェリコは完全に貴族のそれであったし、ジョルジュとモローをイニシアチブを使わずに屈服させるのは流石でした。

キャストが出た時点で、「うわ、絶対安西くんがアンジェリコちゃんやん…それ以外ない…似合う…」とは思ったんですけど、本当に本当に素晴らしいアンジェリコちゃんでした…。繭月の猪突猛進なアンジェリコから、繭星の狂ってしまったアンジェリコまで、さすが安西慎太郎…と思わせられました。

 

月の翳り、兎にも角にも青春学園ストーリーでした。TRUMP時代のクランよりも、もっともっと等身大の繭期(というより思春期に近い気がする)の少年たちがそこにいたなあという印象。前述のとおり、とても人間臭い作品だった。

 

 

星ひとつ

ウル・デリコのお話。というよりこれはもうSPECTERとグランギニョルを盛り込んだTRUMPウル視点+ダリちゃん視点。リバースっていうわけじゃないけど、TRUMPトゥルリバ合わせて1つのものとしてのリバースって感じ。

大まかなストーリーはほぼTRUMPで、アレンの話が引かれ、そこに補足のようにダリちゃんの話が入ってくる感じですね。開演してすぐ、グランギニョルでウルにかけられたイニシアチブのシーンから始まって秒で死んだ。キャスパレで号泣した。TRUMP単体で見てもしんどい話なんだけど、そこにグランギニョルを混ぜてくるともう本当に…ねえ?

まずは、臥萬里くん。とりあえず顔が美しい()キャスパレで隣に再演SPECTERのハリエット衣装があったり、ソフィを見て「姉さんに似てるな」って言ったり、今までのTRUMPの臥萬里よりもSPECTERのノームが成長したという流れがはっきり出てました。大切な姉さんの息子だから、自分が名付け親だから、ソフィを守ろうという想いがものすごかった。クランに潜入するヴァンパイアハンターをやりたがる人は少ないけど希望して来たってことはやっぱりソフィがクラウスのいるクランに送られたことを知ったからなんでしょうね。言ってはいないけど、我守護感が強かったなあ。

クラウスは今回アレンの話が割愛されている分本当にただの不思議なちょっと頭のおかしいティーチャーという感じでしたね、最初は(重要)。アレンがいないのにアレンの話に説得力を持たせるのめちゃくちゃ大変だろうなあ。わたしは陳内クラウスが最高最強だと思ってるので今回観れて良かったです。ソフィという星に手が届いた後の笑顔が本当に気持ち悪くて好きなんだ。

ラファエロとアンジェリコについては繭月を観てから繭星を観ると、あんなことがあったからこうなったのね…とか、あの言葉の裏にはこんな想いが…とかっていうのがわかって余計しんどくなった。ラファエロもアンジェリコもああするしかなかったんだろうなあ。

ウルは最初NU版TRUMPの早乙女ウルに近いかなって思ったんですけど、これはやっぱり早乙女ウルともまた違う宮崎ウルだなあとなりました。なんかしゅとぴしばらく見ない内に演技の幅がものすごい広がっててビビる…。すごい…ウルだ…となった(語彙力)。みんなに慕われる人気者のデリコ家の息子でありながら、常に死に怯え、もう何もいらないから永遠の命だけを、と嘆く姿は本当に悲痛だった。

ソフィは今までのTRUMPのソフィよりも孤高という言葉が似合っていた。まぁそりゃそんなソフィが嫌で施設を逃げ出すダンピールもいるよねって納得してしまうくらい。どうしたってウルが憧れてしまうのも痛いくらいわかる。

繭星では今までのTRUMPよりも、ウルのソフィへの強い憧れ→つきまとう→ソフィの困惑→ソフィもウルを友人だと認め始めるっていう流れがスムーズだったような。今までのTRUMPってなんかソフィのウルへの想いの描写が割と少なくて、ソフィがあそこまでウルに執着することに繋がりにくかった気がするんですけど、繭星はウルに惹かれていくソフィの様子も見えて良かったです。クランが焼け落ちて炎が落ち着くまでずっとウルの亡骸に覆いかぶさってソフィが守っていたのも、とても説得力があった。そして今回はトゥルリバで輪廻しないので、ウルは最期「もし生まれ変わるなら、僕は、君に…」で終わる。ソフィはここからずっとソフィとしてウルを求めながら永遠を生きていくんだな、と改めて思いました。ここからマリーゴールドとLILIUMに繋がっていくんだよなあ…。

あと、ウルもソフィも身体能力が鬼で殺陣がすごかった。しゅとぴのジャンプも久しぶりに見たけど相変わらず高い高い。5mくらい飛んでるんじゃないかと思ってしまう()

そして、ダリちゃんですね。も〜〜〜〜本当にこの人はとんでもない。繭星ダリちゃん視点で語られることも多くて、それはつまり登場シーンが格段に増えてるわけなんですけど。どれもこれも本当にしんどいんだよねえ…。ウルへのイニシアチブから始まり、ソフィがいた孤児院の院長がダミアンストーンだったり(つまりソフィがクラウスがいるあのクランに送られたのはダミアンストーンの思惑)、クラウスとの対峙だったり、息子たちの死だったり…。クラウスとの対峙はなんかもうすごいよな…。跪くダリちゃんなんか滅多に見られないだろうし。そもそもダリちゃんは根底ではきっとTRUMPを憎んでると思うんですよね。TRUMPがいなければダミアンストーンもおらずフリーダ様を失うこともなかったし、ウルの悲劇的な出生もなかった。直接的な原因ではないにしろ、元を辿ればTRUMPの存在があるからであって、でもそんなTRUMPを監視し心の平穏のために守らなければならない彼の苦しみはどれほどのものだったんだろう。TRUMPもソフィもどうでもよくて、ただフリーダとの約束を守って、ラファエロとウルを育てていきたかったんだろうなあ。まぁ息子たちにはその想い全然伝わってないんですけどね…(笑)ウルの秘密が暴かれた後の「恥晒しは俺か…」って言うのも本当に本当につらいんだけど、そう思うならラファエロにもちゃんと言ってあげなさいよ…となるもんな。本当に壊滅的に子育てが下手だ…。息子たちは愛されてないって思ってただろうけど、ちゃんとそこに愛はあったので、ラファエロが灰になった後呆然としているダリちゃんが本当に切ないんですよね。あそこでフリーダ様の言葉が出てくるのもめちゃくちゃずるいんですけど。

そして、全繭期の方達が一番泣いたと思われるウルの亡骸を抱きしめるダリちゃん。「ウルの死を嘆くな」「ソフィはお前を助けようとしてくれたんだな」「いい友達を持ったな。それをクズだなんて言って悪かった」「お前のその手は星に届いてた」「お前は絶望のイニシアチブに負けなかった」「お前の死は希望なんだ」こんなん涙腺死ぬしかない。血の繋がりもない、しかもダンピールの息子にこんなこと普通言えないじゃない…ダリちゃんの愛の深さがすごい…。本人には伝わってないけど…。本当に本当に本当に素晴らしい人なのに、本当に本当に本当に残念な人だ…。

 

ストーリーとしてはTRUMPなので、ダリちゃんコールも出来て良かったし、アンジェリコフィーバーもあったし、真顔でゴリゴリ踊る安西アンジェリコちゃんがじわじわきてしまった。

 

 

総括

わたしは月→星→星の順で観たんですけど、月→星は正解だったなあと思います。月を観てから星を観ると前述したようにラファエロとアンジェリコについて深みが出ますね。COCOON発表された時はなんで2つに分かれてるんだろうかと思ったけど、この作品は2つで1つですよね。独立してるんだけどお互いがお互いを補完し合ってる。だから単独で観てもまぁ話はわかるんだけど、組み合わせることでより深くなる。

やっぱりTRUMPシリーズはものすごいなあ。越繭できる気がしない。

 

 

 

 

基本Twitter回答ですが、何かありましたら。

cさんのお題箱