STELLA

好きが君だけで溢れかえるまで

人生とは常に新しい景色を見るためにある〜舞台「LikeA」

こんにちはこんばんは。

 

 

 

LikeA観てきましたので感想みたいなもの。感想というか考察に近いのかもしれない…とにもかくにもさすがの制作陣ということでわからないことだらけでした。

ほぼほぼネタバレですので未見の方はお気をつけください。

 

 

あらすじ

海沿いの静かな街High-Tide<ハイタイド>に立つ一軒の高級ホテル『PERMANENT(ペルマネント)』

ここペルマネントを訪れたお客様には、最高級のサービスを保証しており、それだけに宿泊料金は想像を越えるものとされている。
さらにはペルマネントの最上部分は雲がかかっているほど高く建物の全貌を知るものは少ないとされている。

1階ではドアマンのアッシャー、ベルボーイ、ポーターが華やかにお客様を出迎え、
執事の役割をこなすバトラーや、ウエイタートップのメートル・ドテールがホテルマンたちの動きに目を光らせている。

ペルマネントのブランド力を落とすことがないようにと、経営担当のFCが陽気に今日も歌っている頃、ホテルの裏側では残飯処理を仕事としているバスボーイが陰に隠れチップも貰えない自分の仕事に不満ばかり。
幼馴染である点検係のインスペクターや清掃係のキーパーと共にホテルや人生への文句を日々、叫んでいる。
同じく幼馴染であり優等生のバトラーは、そんな彼らの文句に耳を傾けながらも、彼らの主張を受け入れなかった。

そんな日常にも飽きてきた頃・・・事件が起きた。
ペルマネントのライバルでもある豪華客船型ホテルROXANE<ロクザン>が沈没したというのだ。

ハイタイドの海辺にはボロボロになった男が一人。
彼はROXANE<ロクザン>のバッチを付けたクルーの一人と見られ、記憶を失くしている様子。
ペルマネントには相応わしくない男を、ホテルに招くべきかそうではないか。
珍しい客の襲来にペルマネントの日常は揺れ動いていく。

 

舞台セットと演出

2枚の可動式の壁。それによって座る座席の位置によってステージ内に死角が発生する。わたしは下手寄りのセンターだったからセンターと下手は見えたけど上手で何が起こっていたのかは知りません。「ホテル」という性質を活かしていて、事前アナウンスでもあったように泊まる部屋(座る座席)によって景色もさえずりも異なる。舞台って見せるために作っているから、そこに敢えて死角を作るのが新鮮でした。ていうかなんでそんなこと思い付くん?って感じ(笑)

それと、今回影を使った演出が非常に多かったし、素晴らしかった。部屋の札を照明による影で読ませるとか。うまいなぁ。

 

ストーリー

これはほとんどあらすじと同じだと…。前半はホテルペルマネントでの日常。ロクザン沈没の噂。海辺で倒れているロクザンのバトラーの制服を着た記憶喪失の男。その男を招き入れたことによって、少しずつ変わっていく日常?いや、変わらない日常?ペルマネントの従業員達はどうするのか、記憶喪失の男は何者でどうなっていくのか。完全なる序章。

 

キャラクター

BB

バスボーイ。ホテルの残飯処理係。口調は割と乱暴ハイタイド大好きマン。バトラー、インスペクター、キーパーとは幼馴染。足が長い。

バトラー

大体いつも乳母車を押している。乳母車にはムー(と呼ばれる赤ちゃん?)が乗っている。姉が4人いたが、訳あって8人になった。プライベートのことは内緒。

インスペクター

点検係。最上階のプレミアムフロアが気になっていたり、一流にやたらとこだわっている。

キーパー

清掃係。怖がり。なのに変なところでは怖がらない。

アッシャー

ドアマン。ペルマネントに憧れて外から来た。ナルシスト。盗聴が趣味。

ベル

ベルボーイ。

ポーター

荷物係。

メートル・ドテール

ウエイタートップ。パパが偉い人(誰なのかは不明)でプレミアムフロアにいるらしい。BBより年下だが上司。割と馬鹿にされている。

FC

経理担当。この中では一番偉い?唯一プレミアムフロアに行けるらしい。いつもフランスパンを持っている。大体ピアノを弾いてる。

キャプテンR

ある日ハイタイドの海辺で倒れていた記憶喪失の男。ロクザンのバトラーの制服を着ていた。キャプテンRと名付けられる。

 

散りばめられた謎

さすがはclubSLAZY制作陣。全てが謎に見えるし全てが謎ではなく見える。舞台が終わってロビーに出るとwebアンケートの紙に書かれている「あなたには、謎が見えましたか?」の文字。演出がニクイ。この演出似たようなのラブスレの時も見たな?()

 

ということで、気になったところをちらほらと。

 

  • オープニングの場面は一体何なのか

廃墟のような瓦礫の山から始まります。そこに辿り着くR。あれは一体何なのか。沈没したロクザン?それとも…。

Rは劇中で登場する衣装ではなく、ドアマンのような服装。その意味は一体?そして他の人にはRが見えていない?でもRには見えている?

劇中でペルマネントを嵐が襲う場面があって。高波に飲まれる!!っていうギリギリまできて、嵐が消えたんですよ。その意味が全くわからないし、その後に嵐の後の静けさ…いや、嵐の前の静けさって言ってて。嵐は何度か来ている?ループしてる?それか、冒頭のシーンに繋がる?実はあの瓦礫はペルマネント?ペルマネントはロクザンだった?

 

  • ムーとは一体何なのか

バトラーが連れている乳母車に乗ったムー。これは一体何なのか。抱き上げているところもあるし、泣き声もする。バトラーが面倒を見ると決めた、と言っていることから生命体ではあるはず。だけど、偽物とすり替えたことにメートル・ドテールは全く気付いていなかった。ムーを個体として認識できているなら気付かないはずがない。ということは、ムーを認識できていない?

そして、キャプテンRに抱かれた時ムーは泣き出し、拒絶の意を示す。その後、再びキャプテンRがムーを抱いた時にはムーはキャプテンRを受け入れる。その間何があったのか。ムーに歓迎されるとはどういうことなのか。

高波が来る瞬間、誰よりも嵐と海、波に怯えていたはずのキャプテンRが真っ先に立ち上がりムーの元へ向かったのはなぜか。キャプテンRは高波が本当は来ないことを知っていた?みんなの混乱に乗じてムーになにか接触しようとしていた?

 

  • アッシャーについて

盗聴が趣味のアッシャー。キャプテンRが最初に充てがわれた部屋、222号室で彼は何を聞いたのか。キャプテンRは海寄りの222号室ではなく向かいの部屋に替えてもらったはずなのに。

ハイタイド育ちではなく、外からやってきたアッシャー。ペルマネントに憧れて来たはずなのに、ロクザンの話に食いつき、外の世界の話をしたがり、外の世界に誘おうとしているのはなぜなのか。

 

  • ホテルマン達の過去について

バトラーは余計な過去、と言っている。BBは父親に夜な夜な連れ回されていた。幼馴染同士でもお互い知らないことが多い。そして、彼らが名前で呼び合わない理由とは。

 

  • ホテルペルマネントとは

そもそもホテルペルマネントとは一体何なのか。五つ星ホテルの更に上のホテル。最上階のプレミアムフロアとその他のグランドフロア。

この高級ホテルに泊まるお客様は赤ん坊よりも静かに眠る。金で極上の眠りを買う。人生の第3をホテルペルマネントに注ぐ。第3とは一体。全てを捨てて辿り着くホテルペルマネント。そして、ホテルを出る頃には満足な顔と男に永遠の別れを告げられた女の顔を混同させて去っていく。男に永遠の別れを告げられた女の顔ということは絶望?満足な顔と絶望した顔を混同とはどういうことなのか。

誰も行ったことのないプレミアムフロアには何があるのか。

 

  • 「死」に関する描写が多い

極上の眠り(死のこと?)、宿泊客のご婦人の嫁に対する殺意、ロクザンの沈没事故、殺したいほど良い男、等々。死を連想させる言葉や描写があまりにも多い。

 

 

と、まぁ書き出したら止まらないのですが現時点ではこの謎は謎であるのかすら謎です。SLAZYでも同じようなことが言われていたけど、ペルマネントは死後の世界なのか?全てを捨てて、第3の人生を極上の眠りに注ぐ。

ペルマネントは死後の世界で、ロクザンは=ハイタイド、ペルマネントで、劇中の嵐の後が冒頭に繋がっている、と考えるのが一番ちょうどいいんですけど、でもきっとそういうことではないんだろうなあ。そう考えさせられてるだけで、全てはカオリ*1の手のひらで転がされているんだろう…。恐ろしいわカオリ…。

 

兎にも角にも謎だらけで考え出したら止まらないんですけど、それはもう後々解明して頂くしかないので…。謎しかないですけど、舞台自体もとても楽しかったです。Asuさんの音楽はやっぱりめちゃくちゃ良いし、今回はピアノ生演奏があることでものすごく幅が広がっていた。CDに悲しみのイースト菌を入れて欲しい。ダンスもさすが里美さんで超かっこいいです。

あとはもうみんな歌もダンスも半端なくうまい。レミゼマリウスでお馴染みたなかみりんぼし大先生(内藤大希さん)を始め、3オクターブの声域の辻いってんしんにょうくん(呼び方)、以前推しと共演してて歌めっちゃうまいなと思ってた石賀くんに髙﨑くん、初見でしたがキーパーのおどおどした演技と正反対にめちゃくちゃ色気のある歌声だった中谷くん、ラップめちゃくちゃかっこいいSHUNさん、キレキレダンスの岩ステーションにピアノの平牧さん。橋本くん今井くんもとてもよかった。女装最高だった(笑)

全然把握しきれてないし、もう一度と言わずもう何度でも観たい。そして色々な角度から観たい。観れば観るほど深みに嵌っていく作品でした。

*1:三浦香大先生